道尾秀介「いけない」ネタバレと考察。読み返すほどに怖くなる小説。

道尾秀介さんの小説「いけない」読了しました。

王様のブランチで紹介されていたのを見て久々に読書欲が湧き。単行本の購入なんてハリーポッター以来くらい久方ぶりでした。

そしてその期待を裏切らない面白さ。

何度か読み返してなんとなーくわかった気はするけれど、まだ曖昧な箇所も多く…ネットで誰かの推理を読みたくて探してもまだなくて。

おそらく他人の推理を知りたい人、たくさんいるのではないでしょうか?

そこで、私の考察を公開します!そんなん当たり前にわかるわ!とか、全然違うわ!深読みしすぎだわ!とか思われるかもしれませんが^^;

文中から簡単に読み取れるネタバレと、推測をまとめました。

本書をまだ読んでいない人はここでブラウザバックしてくださいね。

 

 

 

 

第1章  弓投げの崖を見てはいけない

ネタバレ

  • 事故により安見邦夫は失明した。
  • 亡くなったのは安見夫妻の幼い息子。
  • 安見邦夫が犯人(尚人・森野兄弟の弟)に復讐。
  • ラストの地図から、宮下志穂の乗る車に跳ねられたのは隈島であることがわかる。

 

考察

第1章はまだまだ謎が残っている気がします。

犯人の尚人の苗字が非公開なのは何か理由が…?とか、ラストの地図がところどころ色が違うのには意味が…?とか。はい、わからないことだらけかつ、何の意味もないかもしれない点が気になってしまいます(笑)

というわけで第1章に関しては推測はありません。

 

第2章  その話を聞かせてはいけない

全体的に薄気味悪い内容でした…。

ネタバレ

  • ラストの写真から、文房具屋のおばあさんと甥を崖から転落させたのは、山内

 

考察

  • 山内は文房具屋のおばあさんの親族?

ラストの写真、妻と親族と字幕が出たニュースのワンシーンに映り込む山内の姿。その場にいても咎められないのは、親族だから?

また、崖に向かう車中でエンジン音が一瞬静かになるシーン。この時、山内が車内に隠れていたことに甥が気付いた?けれど後に引けず再度車を動かした?それも、身内でなければそうはならないですよね。

 

  • ホームレスのおじいさんは文房具屋のおばあさんの夫?

山内が親族である前提で、山内もおじいさんに怨みがあったからこそおじいさんに悪さをした? 

おじいさんのなんとかの人間はなんとかだというセリフ、山内とカーどちらに向けられたものか明記されていませんが、このセリフって基本的に相手の素性がわかった上で発せられるものですよね。

そして山内の大怪我を負っても飄々とした態度。おじいさんとのやり合いは以前からあったことを想像させます。

 

  • おばあさんの夫を刺したのは山内?

カーが最初に文房具店に行った時の甥っ子の不自然な体勢。甥が犯人ならその場で何かしらのアクションを起こしてもいいような気がします。

親族の山内が犯人だったら。子どものしたことに呆然として動くことができず、カーが帰るまでやり過ごそうとしたと考えられるのではないでしょうか。

また、カーが山内に文房具店で見たことを話した際の山内の「そんなこと起きるはずないもん」というセリフ。自分がやったことだから、カーの話すことを完全に否定できた?

山内の爪の何か赤黒いものをほじくったような汚れも、山内の手のケガによるもの?と思わせて…。

カーが文房具店の前で山内と鉢合わせた際も、山内は上半身をわずかにこちらに傾けた状態で立っていましたが、カーの話が本当か確かめに行ったのではなく、カーに見られたことを2人に報告に行くために、まさに店に足を踏み入れようとしていたところだった?

 

第3章  絵の謎に気付いてはいけない

この話も読み手によって捉え方が大分変わりそうです。

ネタバレ

  • ラストの写真から、竹梨が絵に手を加えて隠蔽工作を計った。

 

考察

  • 犯人は守谷?

実は犯人は竹梨?とも思ったのですが、竹梨は憧れの先輩を守るために罪を他人になすりつけた過去があります。

また、十王環命会の集会で、竹梨に何かを伝えようとする守谷の目と、それを必死に読み取ろうとする竹梨

第4章で竹梨は十王環命会の会員であることが示唆されていますが(しかも支部が出来たばかりの頃)、支部長である守谷を竹梨が崇拝していたとすると、守谷が犯人であることに気付いた竹梨が彼を守るために隠蔽を行い、絵の謎(スマートキーを塗りつぶし書き足したのは竹梨である)に気付いた水元を…と考えるのが自然かなと。

 

  • 宮下志穂の謎

犯人が守谷だとして、原因は?と気になるところですが、ここは読者の想像に任せるということかなーと。

これも第4章で明るみに出ることですが、第1章の宮下志穂の乗った車の起こした事故の唯一の目撃者は竹梨で、竹梨は嘘をついて十王環命会を守っています

宮下はそれを知っているので、それが理由?とも考えましたが…この事件について情報が少ないことから、本筋とは関係ないと捉えました。

守谷と不倫関係にあってそのいざこざから、とかかな?と。

 

第4章  街の平和を信じてはいけない

1〜3章のネタバレに触れつつ、それぞれの章の主要人物が再会&出会います。

ネタバレ

既出ですが、

  • 邦夫は犯罪を犯した。
  • 竹梨もまた、犯罪を犯した。
  • そして山内も。

この3点が明確にされます。

そして、

  • 竹梨が書いた告白文を、失明した邦夫が自分のものだと思い込み破棄。
  • 邦夫が竹梨に渡した(弓子が代筆して竹梨に持たせた)告白文は白紙。

 

考察・感想

全ての真相が闇に…

2つの告白文がないも同然になったことで、2つの事件の真実が明らかにされる機会を失いました。

邦夫の罪に気付いた隈島は消え、妻弓子も夫を守るため真相を口にすることはないでしょう。

宮下もそうですね。吉住も地位を守りたいでしょうし。

邦夫・竹梨の2人がまた自らの罪を告白しようとする可能性はありますが…

第1章で尚人が雑草の上に落ちているカケラに気付いた際に口にした、運がいいという台詞が、後に竹梨の告白文が偶然によって破棄されるシーンに効いています。

 

守る人、守られる人

主要な人物たちは皆、守る相手がいたり、守られたり。

  • 邦夫は弓子に
  • 弓子は隈島に
  • 山内はおばあさんと甥、そしてカーに
  • カーは邦夫・山内に
  • 守谷は竹梨に

他にも森野兄弟や尚人、間接的なものも数えたらキリがありません。

竹梨の、自分がこうあってほしいと願う世界を守りたいという気持ちって、誰しもがもっているものなのではないでしょうか。

それが不運の連鎖を招くこともあると。怖い。

 

平和を信じてはいけないのは誰?

そして一番怖いのは、カーが山内と親しく付き合うようになってしまったこと。

2章の推測が正しければ、山内は自分を守ろうとしてくれたおばあさんとその甥を裏切ります。

カーを助けると約束したため?いえ、それだけでなく、2人がいなくなるということはつまり、自分の罪を知る者がいなくなるということ。

2人に罪をなすりつけて、更には自分を助けてくれたとカーに感謝され、友人を得ることができます。

というか友人がほしかったのかというのも不明で、もしかしたら2人に対する罪を共有するカーを見張るために…?ゾッとします。

カーは過去に安見先生に助けてもらったことで頑張れたと言います。

もちろん、山内に助けられたことも彼の生きる力となっていることでしょう。

過去に助けてくれた邦夫・山内、そして親切にしてくれた竹梨、全員が罪人。自分を助けてくれる街の人たちがいる、それだけで街の平和を信じてはいけない。これってカーに対しての言葉?

善意で助けてくれた安見先生が、もしあの時事故に合わなかったら、カーにもまた違った未来があったかもしれません。

 

子どもの不運な話って苦手なので、何度か読み返して自分なりに解釈すると全体的に後味は悪くて本の内容も忘れたいほどなのですが、忘れた頃にまた読みたくなりそうな、そんな読了感でした。

 

まだまだ理解できていない部分もたくさんありそうなので、しばらくしたらまた誰かのネタバレを探してみたいと思います(笑)